モノクロ表現は、コストを抑えるために刷り色を減らしたものだけでなく、カラー印刷の中でも印象的なビジュアル表現の一つとしてよく目にします。
モノクロ表現の中でも、よく用いられる手法は、カラー画像からブラック1色画像へのグレースケール変換です(写真1)。この手法は比較的容易ですが、写真によっては、もの足りない印象を受ける場合もあります。「グレースケール変換ではちょっと弱くて、もっと印象的なモノクロ表現をしたい」という時、用いられる手法として、「ダブルトーン」や「モノクロ4色」と呼ばれるモノクロ表現があります。
ダブルトーンによるモノクロ表現は、グレースケール変換したK版に特色版を加えることで、深みや表情を与えることができます(写真2)。ダブルトーンでは、かけあわせる特色の色調によって、仕上がりの印象も異なってくるので、イメージするビジュアルに応じて、どのような特色と組み合わせるかが重要になってきます。
モノクロ4色は、モノクロのベースとなるK版に、C版、M版、Y版の3版を加えることで、単純なグレースケール変換よりも、豊かな階調をもった印象的なビジュアルに仕上げることができます。プロセス4色のカラー印刷の中で、印象的なモノクロ表現を行いたい時に有効です。
また、プロセス4色の色調バランスを調整することによって、「赤味のグレー」や「黄色味のグレー」など、単純な白と黒のモノクロとは異なった、バリエーション豊かなモノクロ表現も可能です(写真3〜6)。
以上のような、モノクロ表現の製版は、求めるイメージに応じて、各版のバランスを考慮した版づくりが重要となります。アールプロセスでは、著名な作家さんの写真集や大手メーカーの広告ビジュアルなど、数多くのモノクロの製版を手がけていますので、幅広いモノクロ表現に対応できます。ぜひご相談ください。
〈写真1〉プロセス4色画像をグレースケール変換(刷色:墨1C)
〈写真2〉ダブルトーンで製版(刷色:墨+特色グレー)
〈写真3〉ウォームグレー調で色調補正(刷色:プロセス4C)
〈写真4〉ウォームグレー調で色調補正(刷色:プロセス4C)
〈写真5〉クールグレー調で色調補正(刷色:プロセス4C)
〈写真6〉クールグレー調で色調補正(刷色:プロセス4C)